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- 作品データ
- 監督:チャン・ヤン
製作:アン・シャオフェン
原作:リウ・フェントウ
脚本:チャン・ヤン/フォ・シン/チャン・チョン
キャスト:シュイ・ホァンシャン/ウー・ティエンミン/リー・ビン/イエン・ビンイエン/ガオ・グー
原題:飛越老人院
制作年:2012年
上映時間:104分
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- あらすじ
- 「こころの湯」「胡同(フートン)のひまわり」のチャン・ヤン監督が、老人ホームで暮らす老人たちが人気仮装番組に出演するためホームを飛び出し、古いバスを手に入れて都会を目指す姿を描いたハートフルコメディ。友人のチョウさんの勧めで老人ホームに入居したグォさんは、家族にも見放され、変わり映えのないホームの日々に生きる気力を失っていく。そんな中、チョウさんが人気テレビ番組「仮装大賞」への出場を提案し、にわかにホームの老人たちは活気づくが、職員や家族たちから反対されてしまい……。2012年・第25回東京国際映画祭「アジアの風」部門で上映された(映画祭上映時タイトル「老人ホームを飛びだして」)。
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- オフィシャルサイト
- http://guosan.jp/
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- 予告編
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- 鑑賞日
- 2014年1月11日
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- 鑑賞場所
- シネマート新宿
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- 評価
- ★★★★
ネタバレ注意!
この映画評は私自身の鑑賞メモという扱いで、基本的に本編の内容に触れる事が多いものです。
作品をご覧になっていない方は鑑賞後に読んで頂く事をオススメ致します。
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主要キャストのおじいさんたちがこぞって70歳オーバー。
そんなおじいさんたちの青春群像劇。
全体は大きく3部で構成されていて、
<1部>
老人ホームに新しく入居した主役のグォさん、仮装演劇をリードするチョウさんをメインに、ホームでの孤独感や閉塞感、家族との確執、演劇を始めようとするも病気や年齢的に諦めないといけないという現実を重く感じさせるパート。
<2部>
職員や家族の反対を押し切って、大会の開催される都市にバスで向かうロードムービーパート。
<3部>
大会本番とその後を描くラストパート。
1部ですごく重たい雰囲気から対比させるように2部で大きく世界が広がっていく展開がとても気持ち良かったです。
中国の広大な大地の描写。360度何もないただ道が続くだけの景色。アメリカ西部(アリゾナ、グランドキャニオン近辺)を車で回った時の事を思い出しました。地球、世界の広さを感じると共に自分の存在の小ささも何となく感じてしまいます。
また、3部でのある人を見送るシーンとそこからの大規模なラストは、この作品全体を涙と一緒に明るく優しく包んでくれました。
真木よう子似の老人ホーム院長(イエン・ビンイエン)が家族と一緒におじいさんたちを車で追うシーンで語っていました。
「遠く離れた親とあなたがこれから一緒に過ごす事ができる時間はたった10日足らず」
これは親に限らずの話ですが、胸に留めておかないといけない事だと思います。
あと、老人ホームの中にいる僕らの大事な人たちは少なからず「死ぬのを待つだけの暮らし」という意識があるというのも忘れてはいけない。
医者が言うように無茶をさせれば体に悪い、と言うのはもっともですが、残りわずかの人生を数え始めた人たちに自分たちがやれることは何か、いずれ自分もその当事者になると一つ覚悟も決めたわけです。
「麦子さんと」評でも語りましたが、家族の映画は自分と家族への置き換えがあるから自分の人生に影響を与えるという意味ではそれだけで観る価値と意味があると思います。