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【レビュー】新しき世界

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この映画評は私自身の鑑賞メモという扱いで、基本的に本編の内容に触れる事が多いものです。
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評判どおりの快作でした。
韓国の映画はこういったノワール(犯罪/暴力)系映画をよく観ますが、これまた名作が生まれたなという感じです。

ヤクザ映画でよくある展開として、
ちょっとしたイザコザからある時死人が出る→そこから復讐、復讐の振り子がだんだん大きくなる→最後はみんな殺し合って死んでしまう。
結局ヤクザという生き方の愚かさ、虚しさばかりが残ってしまう事が多いと思います。
北野武監督の「アウトレイジ」もそのような映画で、その直接的な暴力シーンを含めた争い自体をエンターテイメントにしているような作品でした。

対してこの「新しき世界」はヤクザの闘争+潜入捜査という要素が入って一つ厚みのある話になっています。
直接的な暴力シーンはそこまで多くはなく、どちらかと言うとセリフや間、そして”顔”によるせめぎ合いによって闘争を繰り返します。
潜入捜査におけるサスペンスさというのは自分が警官である事がバレて身の危険が迫ること、そして潜入している犯罪組織に情が生まれてしまい自らの正義感が揺らいでしまう事であり、
宣伝文句でもありますが、「父への忠誠か、兄との絆か。」
その主人公の”葛藤”がメインとなる話になっています。

潜入捜査官の主人公イ・ジャソンを演じるイ・ジョンジェ、
ジャソンが兄と慕う組織の幹部チョン・チョンを演じるファン・ジョンミン、
ジャソンを裏で操るカン課長を演じるチェ・ミンシク、
他役者陣の脂の乗った演技や顔の強さも見物ですし、刀を振り回しながらの乱戦や緊迫感のあるシーンの飛ばし方など撮影/編集もすごくうまいです。

ラストの1シーンは蛇足だとおっしゃる方もいるみたいですが、
主人公の最後の決断を裏付ける大事なエピソードであり、作中の主人公が終始「我慢」「苦しみ」「迷い」の表情しか見せていなかった中で最後にあの笑顔を見せるという構成はとても見事であったと思います。

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【レビュー】エンダーのゲーム

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「壮大なる依怙贔屓(えこひいき)」
一言で言うとそんな印象です。

“選ばれし者”という形で世界を救う主人公のエンダーという少年が、最初から最後までひいきされているだけで話が進んで行きます。
冒頭から「お前は特別だ」「賢いのはエンダーだけだ」と言われ、何もしていないのに自動的にステージが上がって行って、知らない間に世界を救った、みたいな

平和的な解決を目指すとかそういう方向が中盤から現れてきますが、
とにかくエンダー自身が最初から出来る子過ぎて、何か葛藤や苦難を乗り越えるとかそういった描写が無いまま話がどんどん進むし、実際に地球にどれだけの危機が迫っているのかとか、この宇宙人と戦おうとしている組織がどんだけスゴいのかとかがイマイチ見えてこないせいで、全体的にリアリティが全く感じられません。

そんな疑惑が積み重なった状態で迎えたラストも、結局これが実際の戦いだったと明かされても「ああ、そうですか」と完全に他人事のようにしか思えないのです。

小説が原作という事で、そちらは未読なのですがおそらく長編の内容を頑張って2時間に詰め込んだ結果、ただただ説明的な話になってしまったのかなという印象です。
VFXは素晴らしかったし、無重力になる戦闘シミュレーションのシーンなんかはゼロ・グラビティを観た後でも楽しく見られるシーンでしたが、全体を通した話し運びが淡々としていてイマイチ盛り上がれませんでした。

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【レビュー】ウルフ・オブ・ウォールストリート

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179分(約3時間)という上映時間。
鑑賞前は絶対長いだろうと思っていましたが、観終わるとあっという間に感じました。
それぐらい話のテンポが良く飽きさせない構成です。
金、酒、ドラッグ、セックスととにかく人間の欲情を惜しげも無くハイテンションで描いています。

実在の人物がモデルという事で、十分シリアスに描く事もできたはずなのに完全に下劣にコメディックに描く作風にしたのは大正解だったと思います。観た人は完全にフィクションだと思うぐらいでしょう。
特に笑ったのが、「レモン」と呼ばれる年代物のドラッグをキメるシーン。
口からヨダレ、呂律が回らずちゃんと喋れない、手足が動かず歩けない、階段から転げ落ちる、それでも車を運転する。
そこからジョナヒルとの電話の奪い合いと、喉を詰まらせたジョナを救うために再度ドラッグで復活!ポパイのカットバック!あそこは本当に可笑しかった。
他にも会社内でのホステスの絡みやラスベガス行きの飛行機での乱交シーンとかも最低(最高)でした。

レオナルド・ディカプリオも過去最高の演技で、元々の顔つきもあってか老若の演じ分けも見事でした。
客を引きつける(釣り上げる)巧みな話術と人の心を振るわせるスピーチは「ホントに仕事できそう・リーダーにしたい・ついていきたい」と思わせ、汚い金の稼ぎ方や使い方を見せていても、バカで真っすぐで愛されるっていう役を演じきっていて、ホントに彼にしかできないジョーダンだったと思います。
他にもジョナ・ヒルが演じる相棒ドニーやマシュー・マコノヒーの胡散臭い上司も負けずの存在感で素晴らしかったです。

R18+指定とはいえ、全編に渡るドラッグとセックスの過激な描写やFワードの連発など明らかに教育に悪い今作がアカデミー賞にノミネートされているのを不思議に思いつつも、観ている側に爽快感を感じさせるほどパワフルでユーモラス。
観る人を選ぶ事は間違いないとは思いますが、自分は大好きな映画です。

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【レビュー】恋の渦

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「ゲスでエロくてDQN(ドキュン!)」

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DQN
ヤンキー(不良)など、”粗暴そうな風貌をしている者”や実際に”粗暴な者”、また”非常識で知識や知能が乏しい者”を指すときに用いられる[1]。
Wikipediaより
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そんなDQNたちの青春?恋愛劇。

実際こんな付き合い方してる人たちがいるのでしょうけど、まあ普通に自分の恋愛観的に共感できる所は少ないので動物園を見るような傍観する感じで見られました。

セリフの一つ一つが本当にくだらなくてバカだけどなんとなくリアル。自分だったらこんな事言わないよ、と思う反面、恋愛すると誰でもこれぐらいかっこ悪くなるよな、と思う所もあったり。

挙げ始めたらきりがないほど強力なパンチラインもいっぱい繰り出されていました。
「恋の渦名言集」を誰かまとめてもらいたいです。

舞台は四つの部屋だけで、4日間で撮ったらしいですが制作は極めてコンパクト。

この映画の面白いポイントはテーマとか展開とか、構造的な部分では一切なく、ただただ役者たちの会話、掛け合いの「場面」のみに集約されていると言えます。

登場人物は皆どうしようもなくバカですが、どこか憎めない。
毒にも薬にもならない映画ですが、この愛すべきバカたちをずっと観ていたい気持ちになります。

一人で観るより大勢でワイワイ観る方が楽しいと思いますし、別にカップルで観ても全然楽しいと思います。
ぐちゃぐちゃな恋愛話ですけど、完全に他人事で観られますから。

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【レビュー】ミスティック・アイズ

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「ミスティック・アイズ」という放題にセンスの無さを感じつつ、原題の意味もわからなかったので調べてみました。

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wrecker【名】
1.〔故意に物を〕壊す人
2.〔事故車両などの〕解体業者[作業員]
3.〈米〉レッカー車◆【同】tow car
4.海難救助船
5.〈話〉〔夫婦・組織などの絆・結束などを〕破壊する人
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これで言うと5.で、「家庭を壊す人々」のお話。

デイヴィッドとドーンという幸せな夫婦が暮らす家にある日戦地から帰還した弟が転がり込む。
この弟が夫婦や近所の関係を掻き回し平和な風景を乱して行きます。
平凡に見える夫婦関係や近所付き合いの中にも秘密が隠れていて、ふとしたきっかけでそれが明るみになり崩壊する、という内容。

話が進むと徐々にデイヴィッドやその家族の過去が明らかになっていきますが、実際の描写はほとんどされず、人物たちのふとした会話の中に混ざる程度でしか出されません。
最終的に幸せそうな雰囲気で終わりますが、もちろんそれは表面的な部分だけです。
後味はとっても苦々しく、見終わってしばらく暗い気持ちになります。

ドーンが抱える子供を抱っこした”お隣さん”の旦那の「自慢の息子だな」のセリフとか特に苦かった。
「ほとりの朔子」を観た時も感じましたが、こういう身近な人たちが実は関係を持っているっていう状況って、人口の多い都会よりも人同士の繋がりが深い田舎暮らしの方が多いんじゃないかなと東京に住みながら感じた所です。

ベネディクト・カンバーバッチは相変わらず存在感が強く、どこか闇を抱えている雰囲気も良かったですが、
他の役者たちが特に光っているようにも見えずちょっと物足りなさを感じました。